夏色のキミ〜sea side
「おーい、誰か居るのか」
先生の声に はっとする3人
左の子が やばいよ と言って駆け出す
真ん中の子が後に続き
今田里穂も渋々、その後に続いた。
「覚えてなよね」
振り返って恨めしそうに吐き捨てた彼女。
私と純が一緒だった事が
よほど気に入らなかったらしい。
やがて3人の姿が見えなくなり
取り残された私は 膝から一気に崩れ落ちるように地面に座り込んだ。
―怖かった
あんな事された経験もなければ、見た事さえない。
漫画でしか見ない世界が いま目の前で起きた。
実際にあんな事する人がいるなんて…
…いや
今までの私の生活が平和だっただけ?
それとも
高校では、こんな事が当り前だったりするの?
驚きと恐怖が入り混じり、頭が真っ白になる
そんな中
“覚えてなよね”
今田里穂の言葉だけが、ぐるぐると頭の中をループしていた。