夏色のキミ〜sea side
その日を境に
今田里穂たちの嫌がらせが始まった。
靴箱の中にゴミや悪口が書かれた紙を入れられたり
教科書に落書きされたり、体操服がなくなっていたり。
今どき小学生でもやらないんじゃないか
と思うほど、馬鹿馬鹿しい嫌がらせ。
“覚えてなよね”
なるほど、今田里穂はこの事を言っていたのか。
あくまでも他人事かのように私は納得した
いちいちダメージを受けていては体が持たない…
そう思い込んでいても、やっぱり気分は悪かった。
幼稚だと分かっていても 故意にされれば、誰だっていい気はしない。
が、相手が3人だけという点は ありがたいと思わなければ。
これがクラス全員や学年全員になれば
どうなるのだろう
想像するだけで恐ろしい。
建斗やさくら、純にまで見放されたら
私はもう居場所がない。
そんなさくら達に隠し事をしているのが
私にとっては一番辛かった。
せっかく仲良くなったところなのに こんな事で迷惑をかけたくない。
それに、もし3人に嫌がられたらと思うと
とてもじゃないけど言えなかった。
バカや消えろ と書かれた教科書をこっそり広げ
素早く消しゴムで文字を消す
どうやら彼女達も考えているようだ。
教科書やノートには証拠が残らないように字はシャーペンで書いてある
靴箱だって 開けた本人にしか分からないように 奥の方にゴミや紙切れを入れている
体操服に至っては なくなったところで今田里穂達が隠した そんな証拠はどこにもない。
一応考えているのか
と妙に納得する
まあ 私にしてみればそっちの方が好都合だ
誰から見ても分かるいじめなら さくら達に隠す事はまず出来なかったからだ。