夏色のキミ〜sea side
何て言ったらいいか
分からなかった
純の悔しさや寂しさが伝わってくるのに
気の利いた事は何も言えなかった。
純、辛いよね
ごめんね
私は純に助けてもらったのに、私…何も出来ないや…
「ちょっと来なよ」
保健室から出た途端だった
ドアの前に仁王立ちしている今田里穂に呼び止められた。
授業も始まってだいぶ経つのに何をしているんだろう
今登校して来た様子もない。
まさか、さっきの休み時間の純とのやり取りを見ていたのか
そして、わざわざ私が出てくるのを待ち伏せていたのか
そんな事を思いながら
着いた先は、やはり前に行った裏庭。
「調子にのんなよ」
以前呼び出された時と同じ面子の彼女達は
立ち位置までも同じだった。
話を切り出すのも
やはり名も知らない、真ん中の女子
続いて、便乗するように左隣の子が 口を挟む。
「嫌がらせしても動じてないみたいだし、無神経にもほどがあるよ」
無神経はどっちだ
心の中で そんな事を思った。
未だ続く陰湿な嫌がらせ
人の気持ちも考えないで よくそんな事が出来るな と思う。
「純と仲良くして 何が悪いの」
「里穂が傷つくだろ!」
真ん中の子が怒りに満ちた声で叫んだ。
今田里穂は ざまあみろ、と言った視線を送ってくる
彼女が純を好きだから 仲良くしちゃいけないのだろうか。
では、純は女子の誰とも話しちゃいけないのか?
…冗談じゃない。
私だって、純が好きだ。