夏色のキミ〜sea side


「私は何も悪い事なんてしてないから」


今田里穂に言ったにも関わらず、過剰に反応したのは やはり真ん中の子だった。


「ふざけんなよっ!」


胸ぐらを掴まれ、壁に押し付けられる。

コンクリートの壁が ひやりと背中に引っ付く。


その光景を見ていた左隣の子と今田里穂は 不適な笑みを浮かべてこちらににじり寄ってくる


まるでその目は 狙っていた獲物をやっと捕えたハイエナのようだ。


やばい状況なのに 自然と心は落ち着いている


前はあんなに怖かったのに 今は不思議と怖くない。


純は こんな経験を何度も積んできたんだろうか


喧嘩を繰り返し、生傷が絶えない生活を送っていたのだろうか


自分にその気はなくても 戦わなきゃいけない時があるのだろうか。



目の前まで来た今田里穂が 私を睨み、空高く手を掲げた。


私は覚悟して ぎゅっと目を閉じた。



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