夏色のキミ〜sea side
だらだらと過ごす夏休み5日目の午後。
テーブルの上で鳴り響く携帯に、読んでいた漫画本を枕元に置く。
テーブルに手を伸ばしサブディスプレイに表示された名前は
“着信中 純”
びっくりして 寝ていたベッドからバランスを崩して転落。
恋をすると こんなに慌ただしく、マヌケになるのだろうか
打ったお尻を撫でながら 携帯を拾い上げる
一度咳払いをしてから 着信音に急かされ、通話ボタンを押した。
「もしもし?」
「おう。元気か?」
何だか久しぶりに聞く純の声
胸がきゅうっとなる。
「うん、元気だよっ」
出来るだけ可愛い声を出したつもりだったが
「何か、声おかしくねぇ?」
……やっぱり 無理はやめよう。
「…普通だよ。どうしたの?」
「いや、今なにしてるかと思って」
「え?と…別に何も」
ベッドの上でお菓子食べながら漫画読んでた なんて言えない
「ちょっと出れる?」
「え?………うん」
「じゃあ30分後 迎えに行くから」
「あ、うん…」
「じゃあ、また後で」
そう言って 純は電話を切った。
これって 遊びに誘ってくれたんだよね?
携帯の画面を見つめながら ぼんやりと座り込むと
さっきの純の言葉が頭に浮かんできた。
“ちょっと出れる?”
“じゃあ30分後 迎えに行くから”
はっとして立ち上がる。
「着替えなきゃ!」