夏色のキミ〜sea side


初めて純に見せる私服


クローゼットから何着も引っ張り出し、部屋はあっという間に服で散らかった。


さんざん迷った挙げ句 選んだのは至って普通のTシャツにジーンズという格好


私は普段から動き易さが一番、とスカートやヒラヒラしたものを履かない。

前まではそれでいいと思っていたのに 今になって困ってしまう


一着ぐらい履けるスカート
買っておけば良かった。


思いながら
靴箱から 少しヒールがあるサンダルを取り出す


静まり返る我が家。


今日もあの人は居ないらしい


このまま 居なくなればいいのに



玄関のドアを開けると

生暖かい空気が肌を包んだ。

まだ6時とあって、外は明るい。


真っ暗な家の中を一瞥して 鍵をかける



辺りを見回すと 純の姿はまだないようだ。


無意識に髪の毛を整える自分


と、その時



「亜紀っ」



ふいに呼ばれて びくっとした。



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