夏色のキミ〜sea side
「青島。やっと来たかぁ」
やれやれ、と言いたそうな先生の呆れた声。
私の他に遅刻してきた人居るんだ。
やっぱり私も普通に前から入れば良かったなぁ
そんな事を思いながら
ふと顔を上げてみると
…え!?
驚いて、声を上げそうになった。
「ったく、何してたんだ」
「あー…風邪治んなくて」
先生の隣で
立ち上げた頭を掻きながら、いかにも適当そうに言う彼。
先生はまるで信用していない というようにその言葉を流し
自己紹介しとけ
と彼の背中を押した。
クラス中の視線が突き刺さる様子も気にせず、
彼は ぽき、と首を鳴らしてからはっきりと名前を言った。
「青島 純です。よろしく」
間違いない
さっき花弁をくれた人だ。
このクラスだったなんて…
「青島の席はあそこだ」
先生が指差す先は
入学式以来、一度も姿を見せなかった 窓際の一番前の空席だった。
そういえば
ずっとあそこ空いてたっけ
今更になって思い出す。
青島純は 一番前かぁ
と文句を言いながら、渋々席に着いた。