夏色のキミ〜sea side





「あッ!それ俺が頼んだやつやで!」



夏休みも中盤に差し掛かり、大量の真っ白な課題に恐怖を感じ始めた私達は

皆で協力すればなんとかなる と考え、4人で集まる事になった。

けど…


「ちょっと位いいでしょっ私も食べたいんだもん!」

建斗に奪われる前に
チョコレートパフェを早々と口に運ぶ私。


「じゃあ私も一口っ」


隣のさくらが スープ用の大きなスプーンで チョコレートソースがかかったアイスクリームの部分を全て持っていった。


「ああッ!お前ら鬼や…」


がっくり肩を落とす建斗


その隣で呑気にアイスコーヒーをすする純。


「純!どうにかしてぇやあの二人!」


建斗は必死に抗議するが、純は涼しい顔をして煙草を取り出した。


が、ここが禁煙席だと思い出し すぐに煙草をしまう。


喫煙席もあったのに 禁煙席にしようと言い出した本人がそれでは 何だか笑ってしまう。



「…笑うなよ」


一瞬の顔の緩みを指摘され、純を見てみると 彼は まるで何もない所でつまづいたのを見られたような

恥ずかしそうな顔をしていた。


何だか可愛いくて、頭を撫でたくなったけど そんな事出来るはずもなく


「喫煙席に行けば良かったのに」


なでなでしたい気持ちを抑え、純に聞いてみると

彼は私がせっかく抑えた気持ちを また復活させてくれた。


「建斗と二人ならいいけど、こんなとこで未成年だってバレたら亜紀達にも迷惑かかるだろ」



胸がきゅん、となる。



「…心配してくれてるの?」


明らかにあの花火大会の仕返しだった。


“そんなに俺の事心配してくれたわけ?”

あの時
心を見透かされたみたいで恥ずかしくて
余裕の表情を見せる純が何だか憎たらしかった。


だから純にもそんな思いをさせてやろうと思ったのに


「まあ…心配だな」


あっさりそんな事言われたら また私が照れちゃうじゃん



< 65 / 201 >

この作品をシェア

pagetop