夏色のキミ〜sea side
「全く進まなかったね…」
ファミレスを出ると 街は既に夜の顔になっていた。
エアコンで冷えた体に 生暖かい空気が触れる
「7時か〜どうする?」
ぐん、と伸びをする建斗の隣で 早速煙草に火を点ける純。
…そんなに我慢してたんだね
「お母さんっ早く帰って花火しようね」
ふと私達と擦れ違う親子
母子で手を繋ぎ、
子供は嬉しそうに花火のパックを抱えていた
キラキラと目を輝かせ、花火が待ち遠しくて仕方ないようだ。
そんな様子を見ていた建斗が、呟くようにぽつりと言った。
「…花火でも、しよか」
そんな建斗の思いつきによって 私達は花火をする事になった。
コンビニで適当に花火を買い揃え、近くの川へ向かう。
河川敷まで来ると
草木が茂っているせいか
街中の空気とは違って、涼しかった。
「この辺でいいやろ」
「風もないし、ちょうどいいね」
建斗が腰を下ろし、さくらが頷く。
「花火なんてすごい久しぶり」
確か 最後にしたのはまだお兄ちゃんが居た頃だった。
お父さんと3人、近くの小さな公園で
私は きゃあきゃあ言いながら走ってた記憶がある。
あれ以来、花火はした記憶がない。
となると 何年ぶりだろう
あの時 私は幼稚園だったか小学校低学年だったか…