夏色のキミ〜sea side
「あ〜あ はよ冬休みならんかなあ」
「気が早いっ まあ分かるけどね」
その日は建斗と二人で帰っていた。
いつも一緒のさくらは風邪で休みだし
純は用事あるから と別方向で帰って行ったからだ
前の私なら男の子二人なんて 緊張して喋れなかったのに
建斗となら こうして二人になっても自然と話せる。
建斗の隣は なんでだろう
何だか落ち着く。
まるで家族みたいな 幼なじみみたいなそんな感じ
「ちょっとコンビニ寄っていい?」
「じゃあ建斗の奢りでアイスだっ」
「お前なぁ…ったく、しゃあない イケメンなお兄さまが買ったろ」
イケメンなお兄さまが シュシュで前髪をとめるだろうか
そう突っ込みたいが アイスがかかっているのでやめておこう
「いらっしゃいませー」
店員の明るい声を聞きながら 真っ先にアイスの方へ向かう。
と その時
すれ違った男の人と肩がぶつかった。
「あ、すいません」
こちらこそ と言おうとして顔を上げると
ぶつかった男の人は まじまじと私の顔を見下げていた
作業着姿にがっちりした体、少し茶色い髪
20代くらいの 今風な感じの男の人だった
「亜紀、なんやどしたん」
建斗が私の隣に並び、男の顔を見やる
男は未だ私の顔を見つめ
消え入るような声を発した。
「…あ…亜紀…?」