夏色のキミ〜sea side
急に名前を呼ばれ、私はびっくりして 後退った。
それを見た建斗が 男に不機嫌な声で聞いた
「兄ちゃん、何か用?」
建斗にそう言われて 男はやっと我を取り戻したように 私から視線を外した。
「あ、ごめん」
それだけ言うと 持っていたジュースを棚に戻し、逃げるように出て行った。
が、私は慌ててその後を追う。
間違いかも知れない
人違いかもしれない
こんな所に居るはずない
そう思いつつも、走りだした足が止まらない。
自動ドアが開く事さえもどかしい。
外に出ると 男はちょうど 青信号を渡るところだった。
迷いもせず
私はその背中へ
思い切り叫んだ。
「お兄ちゃんっ!」