夏色のキミ〜sea side
私が泣き止むまで お兄ちゃんはずっと傍に居てくれた。
お兄ちゃんだってお父さんの事言えないくらい
家族バカだよ
お兄ちゃん ありがとう
言いたい事は山ほどあるのに 次から次へと流れる涙が邪魔で言葉が出せない。
やっと会えた たった一人の兄妹。
嬉しいはずなのに
「親父、元気?」
お兄ちゃんのその一言に はっとした。
せっかくお兄ちゃんが守った家は今、私にとってはとても居心地が良い場所とは言えないから。
「…なんだ、どうした」
黙り込む私を心配そうに覗き込む兄
「元気、だよっ」
努めて明るく振る舞ったが 兄にはお見通しだったようだ。
「…何があった」
真剣に訴える瞳が強くて
私は笑っていた口元をゆるゆると戻した。
「…実は―…」