夏色のキミ〜sea side

学園祭




「亜紀〜っ着れたー?」


さくらの声に 教室の扉を開ける。


廊下で待っていたさくらと看板作りに励む純と建斗は
無言で私の格好を見てから 一斉に笑い出した。



「丈ながっ!それLサイズちゃうかッ」


「いつのヤンキーだ それ」


「マキシ丈みたいで可愛いよっ」


皆それぞれ好きな事を言ってくれる。


「仕方ないじゃんっ!サイズないんだからぁ」


「うーん それだけ長いと駄目だね。亜紀は他のでいこっか」



明後日に控えた学園祭


私達のクラスは何故だかコスプレ喫茶になった。


提案したのは建斗

セクハラ親父ならではの考えだ。


他に意見もないという事で 先生もあっさり決めてしまった。


準備に追われる日々
大好きな仲間に囲まれ 私は毎日が楽しくて忘れていた


お父さんとあの人が

離婚する事を。





―「敏美と離婚しようと思うんだ」


お兄ちゃんが帰って来た日

全てを打ち明けた私に お父さんは何を言うでもなくただ、黙っていた。


それから何事もない毎日が続き お父さんから離婚を打ち明けられたのは
一週間が過ぎた頃だった。

お父さんの隣に座るあの人は バツ悪そうに俯いていて 初対面なお兄ちゃんとも一度だって顔を合わそうとしなかった。


私のせいで離婚するならやめてほしいと言ったが
お父さんは それは違う
とあまりにハッキリ言うので、それ以上何も言えなかった。

あの人はさっさと荷物をまとめると その日の内に家を出て行った

もちろん 私に挨拶など何もせずに。



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