夏色のキミ〜sea side
そんなこんなで建斗に嫉妬を覚えつつ
迎えた学園祭
一般のお客さんも混じり
賑やかに盛り上がる校内
午前は店番だったので 私達は早速着替えを済ませた。
「あ、似合う似合う」
セーラー服が取りやめになっていた私は 顔にも似合わないピンク色のドレスを着せられた。
「…絶対似合わない…」
これならまた建斗の方が似合いそうだ
制服以外、普段からスカートなんて履かないから 足下がスースーして落ち着かない。
しかもこんなヒラヒラした女の子らしいフリル…
「絶対やだぁっ」
「それしかサイズがないのよ。大丈夫、似合ってるってば」
子供をあやすように私の肩を叩くさくらは
やっぱりお母さんみたいだ。
「おーい、開けるぞっ」
廊下から純の声が聞こえ ギクっとした。
こんな姿 見せられない
どこかに隠れよう!
焦って辺りを見回している内に さくらが
いいよー と返事をし、純がガラガラとドアを開けた。
そして 入って来た純に私は目を奪われた。
黒のジャケットに青いネクタイ
扉を掴む手首から覗く 銀色の少しごつめな時計
制服姿とは全く違う
大人な雰囲気。
着なれないスーツを身にまとう彼の姿はまるで
新入社員のようだ。
「あ、亜紀。可愛いじゃん」
こちらに気付いた純が 私を見た瞬間、あっさりと爽やかな笑顔で言い放った。
かっこよ過ぎる…っ!
純があまりに眩しくて目眩を起こしそうになった。
これが漫画なら きっと彼の背景は光り輝いているだろう