夏色のキミ〜sea side

純のスーツ姿にどぎまぎしつつ 何とか午前の店番を終える。


やっとドレスが脱げる!


早々と着替えを済まそうと 教室を出かけた時だった。



「可愛いね〜この店の子?」


ドアの前に二人の男が立ち塞がっていた。

二人ともいかにも遊び人風で ニヤニヤ顔が余計にその事を引き立たせている。

年は20前後か

声をかけてきた方は猿顔で、もう片方はあまり眉毛がなかった


「この店入るからさあ〜名前教えてよ」


猿顔の男が いきなり私の腕をぐ、と掴んだ。


途端に背筋へ冷たいものが走る


やめて そう言って男の手を振り払おうとした時



「うちの学園祭、ナンパ禁止なんで」


私の背後で 威圧感のある低い声が聞こえた。

誰かなんて確認しなくてもすぐ分かるが
彼がどんな顔をしているのか知りたくて
思わず振り返る。


すると、純は何故か微笑していた。

目は ひとつも笑ってないけど…



「なんだよお前」


男は私の腕を離し、純を睨み付ける


「ナンパなんかしてんじゃねぇよ」

純のあしらうような態度に猿顔の男は拳に力を入れた。


まさに一触即発だ


学校で喧嘩なんてしたらいくら純が悪くなくても停学になると思った

手を出す方が悪いが
同じように出した方も悪い

きっとそう言われると思った。


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