夏色のキミ〜sea side
私はいてもたってもいられず、口を挟んだ
「純君は二週間も学校に来てません。どうしているのか心配なんです 教えて下さい」
出来るだけ丁寧に発言したつもりだったが
女の人は苛立った態度を示した
「あの子とは縁を切ったの。一応家には置いてるけど、あの子がどうなってるかなんて知らないわよ。あの子はもう青島家の人間じゃないの」
なんて言い草だろう
この人は本当に純のお母さんなの?
私には母親なんて居ないから分からないけど
でも
世間の母親がどんなのかくらい想像がつく
本当のお母さんなら
こんな事、言わないよ…
「とにかくお引き取り下さい。近所に迷惑です」
女の人は
まるで毛虫を見るような目で私達を見つめ
もう関わりたくない と遮断するように扉を閉めた。
「あーあ…やっぱあかんか」
こうなる事を予想していたらしい建斗は
すぐに踵を返して歩き始めた。
私は 何故だか足が動かなかった。
鋭い目付き 純を全否定する言い草 私達を拒絶した態度
全てに愕然としてしまった。
「建斗…あれは誰だったの?」
あれがお母さん?
もしかしたらお手伝いさんとか 親戚の人じゃないの?
そう、願っていた。
「あれが純のおかんや」