夏色のキミ〜sea side
その日の夜
さくらとデパートでケーキを買ってから
建斗の書いた地図を頼りに彼の家へ向かった。
無事 迷う事なくたどり着き、部屋に上がると
テーブルには既にお菓子や料理が並んでいた。
クリスマスパーティーだからと特に何をするでもなく皆で料理を食べながら笑い合う。
何でもない話に手を叩いてお腹が痛くなる程笑って
ケーキを食べたのは もう11時をすぎた頃だった。
さくらと二人で こんな時間に食べたら太るね なんて言ってたけど
皆で食べるケーキは いつもより何倍も美味しかった。
と、ふと部屋の隅に置かれた物に目がいった
ピンク色の歯磨きセットと、丁寧に畳まれたジャージ。
「あれぇ?建斗…もしかして彼女いるの?」
ニヤニヤしながら建斗を見ると彼は私の視線に気付き、あっさりと答えた。
「ん?ああ、ちゃうちゃう。それは純のやで。俺ん家よぉ来るから、いつも置いとんねん」
純の歯ブラシがピンク…
似合わないけど、なんか可愛い。
……にしても
二人は本当に仲がいいんだなあ
それからはゲームをしたり
テレビを見たり
あっという間に時計の針は1時を指していた。
皆ぼうっとテレビを見ながら寝転がり始め
次第に会話も途切れていく
それから30分もしない内には完全に静まり返り、あちこちで寝息が聞こえてきた。
私はゆっくり立ち上がって 建斗が用意していた布団を一人一人に掛ける。
初めて見る、純の寝顔
あどけなくて 可愛くて 茶色く染まった髪の毛に
そっと触れてみたくなった。
触ったら起きる…かな?
ドキドキしながらも
そろそろと手を伸ばす。
起きるな、起きるな〜
なんて
私の小さな願いは届かず。
純はあっさりと目を開けてしまった。
びっくりして咄嗟に手を引っ込めたのはいいが
「…あれ…亜紀…起きてんの」
しっかりと見つかってしまった。