夏色のキミ〜sea side
「…純…は?家族の人とは…どう?」
一か八かの質問だった。
聞かれたくない事かもしれない
言いたくない事かもしれない
だけど
私だって純が心配なんだよ
「……」
純はしばし考えてから 真っ直ぐ前を見据えていた。
「俺ん家、来たんだってな」
「……うん」
誰から伝わったのかは分からない
もしかしたら建斗からかもしれないし お母さんからかもしれない。
何にしろ
本人に止められていたのに家に行った事は
純にとって気持ちのいい事ではない。
なのに
「建斗から聞いた。心配してくれてたんだってな…」
「え…?」
「なのに休んでた理由も聞かなかったのは 俺に気ぃ遣ってくれたんだよな」
もう 何も言えなかった。
てっきり純に怒られると覚悟していたのに
まさかそんな風に言われるなんて
「…確かに俺は親と縁切ってるけど、別に普通に一緒に暮らしてるし 何も心配いらねぇよ?」
「…うん」
「長い間休んでたのはさ…ちょっと親父に監禁されてて」
「監禁!?」
思わず 声を上げてしまった。
建斗とさくらに目をやると 二人は何の変哲もなく
すやすや眠っている
ほっとして 再び純に顔を向けた。
「…監禁っつっても 学校に行かせてくれなかっただけなんだけどな。ちょっと喧嘩してさ お前は学校に行く資格はないって言われて。ばかみたいな話だけどな」
ふ、と微笑む純
その横顔は私にはすごく
寂しそうに見えた。
「けど何とか分かってくれたから、もう大丈夫。そんなに俺が心配だった?」
にやりと微笑む純
「…〜もうっ!寝る!」
拗ねたみたいに
純に背を向けて寝転がると
「いびき、かくなよー」
なんて言葉を浴びせられた。