私を見なさい!!!
仁美君が今見つめている方向は圭介へと繋がっている。
愛おしむ横顔。
綺麗だと思った。
そんな風に、私を見てくれたら良いのに。
そうとも思った。
『私を見てくれる日は来ないの?』
振り向いてはくれない相手を思い続ける。なんて…
何だかそれって、虚しくないかしら?
「誉ちゃん、俺…」
聞きたくない。
何も、聞きたくない。
「ごめんなさい。帰る」
「誉ちゃん!?」
私は逃げるように店を出た。
初めて、恋がこんなにも苦しいものなんだと知った。
初めて、私だけを真っ直ぐに見つめて欲しいと思った。
初恋のようだった。