もしも僕らが、、、

出会い


世間一般でいう、『二重人格』のあたしは、今現在普通の中学校には行っていない。
心の病を抱えている子達が主に通う学校に通っている。
中学一年生だったあたしは、両親に突然捨てられ、行くあてもなく学校もさぼっていたところ、先生に事情を知られてしまった。
親がいない今のあたしを、このまま"普通"の学校に通わせる事はやっぱり出来ないらしく、そういった心の病を抱える子達と一緒の学校に転校することになった。
いろいろな手続きは先生がやってくれたが、あたしの心の中の不安は一切消えなかった。

本当に、何もかもが変わってしまった。

天井まで積み上げられた段ボールの中には、家族との思い出がたくさんつまっている。
だからこそ段ボールを開ける気になれなくて、整理する気になれなくて、
あたしこれからどうするんだろう。とか、いろいろ思った。
そんな時、あたしの部屋をノックする音が響いた。

―コンコン、

『あ、はい。』

もしかしたら先生かもしれない、だとしたら挨拶しなきゃだ!と思いつつ、重い腰をあげてドアを開けると、そこには女の子が2人立っていた。
驚いて固まっているあたしを余所に、1人の女の子があたしの顔をじっと見た。
あと少しで鼻と鼻がくっついてしまうくらい。

「へぇ、君が遠野梓ちゃん?」

『え、あ、はい。そうですけど…』

かなりの間ジロジロと見られた後、女の子はそう言った。
もしかしたらこの学校の関係者だろうか、だとしたら訪ねてきた理由もわかる。
そう思っていると、女の子は突然あたしの部屋にとずかずかと入って行ってしまった。
『え、え?』と固まっていると、もう1人の女の子が苦笑いしながら言った。

「ごめんごめん、あの子あれでもここの寮長だから。あ、うちの名前は如月 南(きさらぎみなみ)宜しく。んで、あの子は小野寺 友里(おのでらゆり)。」

なるほど、ここの寮長さんだったのか。
見るからにあたしより年下っぽい小野寺さんはあたしの部屋を舐めまわすようにじっくり見渡している。
それを見ている如月さんは苦笑いで、釣られてあたしも苦笑い。



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