もしも僕らが、、、
気付いたら6時半だった。
いけない、昨日寮長さんに言われた事を思い出す。
7時のラジオ体操には必ず出席しなければならないんだった。
昨日の出来事を思い出し、慌てて体操着に着替える。
お腹が凄く空いていたから、引っ越し際に持ってきたパンの"カケラ"を食べて外に出る。
…そういえば、ラジオ体操はどこでやってるんだろう?
勢いよく部屋を出たのはいいけれど、どっちに行けばいいのかわからない。
ここはけっこう有名な学校だから、ただでさえ広いのに行く場所もわからないのではどうしようも出来ない。
せめて地図でもあれば!と見渡してみても、そのようなものは一切なくて。
もう6時55分。あと5分で遅刻!というところで廊下から足音が聞こえたので反射的にそちらへ目をやると、如月さんが走ってきていた。
『如月さん?』
「よかった…まにあったね。ラジオ体操の場所わかんないでしょ、友里アホだから言い忘れてたんだって。」
「ほら、こっちこっち!」と腕を引っ張られ、一回のホールへ行くと、そこには何十人という人がいた。
この人達全員がここの生徒なんだなぁ…と思うと、スケールが大きくて何故か怖かった。
「それから、さん付けとか名字呼びとかじゃなくて、名前でいいから!」と如月さ…南ちゃんに言われ、そのまま皆の前へと直行。
小声で「自己紹介の準備して。」と言われて、あたしは急に緊張した。
い、今ここで自己紹介するの?
明らかにギャルっぽい人とか、怖そうな人とか、付き合いにくそうな人とかいるここで、皆の目の前で自己紹介をしろと!?
ていうか、そういうのは普通教室で行うものじゃ…
あたしは南ちゃんに反論しようと口を開いたものの、小野寺さんの元気な声によって遮らる。
そのせいで、皆の視線は一気にあたしに集まった。
顔があつくてちゃんと皆の顔が見れないこんな状態で悪いとは思うけど、今すぐこの場をさりたかったあたしは早口に、しかも小さな声で言ってしまった。
『と、遠野梓です…よ、宜しくお願いします。』
果たして、後ろの方まで聞こえたのだろうかというあたしの声。
さっそくあたしは、不安と緊張で死にそうだった。