私の小さな物語
「手、つないでいい?」
穏やかに笑いながらそう聞いてくる柊君。
美羽さんにもそうやって聞いたのかな……
何となく晴れない心の中。
それでも許してしまうあたし。
繋がれた柊君の手はあったかくて、
ワガママなあたしを包んでくれる。
生ぬるい風の中、会話もせずに歩き続ける。
こんな気持ちになったのは初めてだった。
感情があふれ出して、止められなくなる。
今まではそんなことなかったのに。
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