私の小さな物語





その影がゴールすれば


あたしの顔は穏やかな笑みを浮かべ、




その影が誰かにボールを奪われれば



あたしの顔は悔しさに歪む。





あたしはいつの間にか神奈のことも忘れ、



食い入るように校庭を見つめていた。





保健室には冷房の音と時計の音しか響かない。





柊君を見つめるには最適の空間。





何かを考えるよりも、こっちのほうがいい。





何も考えずにただそばにいるだけで。





それだけであたしは幸せになれる。






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