私の小さな物語
しばらく待っていると、ついに雨が降り出してしまった。
すぐ行くって言ったじゃん……。
でも泣いてるってバレないからよかったかも。
急いで帰る人たちの中、アタシは取り残されている。
ここだけ時間が動いてないみたいだ。
降りそそぐ雨はただ優しく、こぼれ落ちていく涙をかばってくれた。
アタシは待ち続ける。
帰ればいいのにって自分でも思う。
雨が降ったから帰ったよって言えば高梨だって許すだろう。
それでも動き出せないのは、
やっぱり高梨を必要としてるからなのかな。