私の小さな物語
「俺、」
「戸田のコト好きだわ」
しばらく沈黙が続いた。
気まずいっていうよりは、緊張した。
憤慨されるか、辟易されるか、それとも呆れられるか。
なんにせよ、いい気はしないだろうな。
『…知ってたよ』
「は?」
『知ってたよ、了が奏のこと好きだって。
見てればわかるって。だけど……』
その先は、想像してもなかった。
『俺のがもっと奏を想ってる』
勝てるはずないと頭の中で誰かが呟いた。