ビター・ビター・チョコレート
「本当は音大を目指してたんだけど、才能ないのに気がついたから止めちゃった」



「勿体無い。私なんて、音楽全然だめだから憧れちゃうな」



歌も楽器もてんでダメ。


笛さえまともに吹けなくて、居残りさせられた事がある。



でも……。



「実はクラッシックって結構好きなんだよね」


意外でしょ。と小さく笑う。



莉玖が、嬉しそうにぱあっと笑顔を作った。



「どんなの聞くの?」



「G線上のアリアとかカノンとか好き。……王道だけど」



「ううん、それ知ってるだけでもスゴイと思うよ」



「莉玖はどんなの弾くの?」



「うーん……ショパンなんだけど……」


と、小さな声になる。



「すごいね、超本格的!今度、莉玖のピアノ聞いてみたい」



「うん」



ちょっと……新鮮だった。
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