ビター・ビター・チョコレート
いい訳にもならないかもしれないけど、夢中だった。
彼女の事は考えられずに、ただ自分の感情をぶつけた。
「好き」とか「愛してる」とか、そんな安っぽい言葉では表現できない程の愛情を持っているつもりだった。
でも――、
「『慧人』って名前を呼ばれて、急に頭の中が真っ白になったんだよ。あんなに好きだったのに。やっと手に入れたのに。美琴が抱かれていたのは俺じゃなくて慧人だったんだって思ったら……目が合わせられなくなっちゃって……」
「美琴も災難だな」
「これ以上、俺にどうしろって言うんだ?どうしたら、慧人の事を忘れてくれるんだ?」
「そんなのも耐えられないんなら、あいつは止めとけ。二人で過ごした時間が長すぎるってもんだ」
そう……彼女達の17年間を、埋める術なんてないのかもしれない。
空洞に見えて、でも中身はまだ詰まっていて。
それが色あせるには、もっと、膨大に長い時間がかかるのかもしれない。
「あーあ、見てらんねーね。その落ち込みよう」
「そりゃー、落ち込むよ。こうなっても、まだ彼女の事が好きなんだ。正常に頭が動かないくらい、好きなんだよ……」
彼女の事は考えられずに、ただ自分の感情をぶつけた。
「好き」とか「愛してる」とか、そんな安っぽい言葉では表現できない程の愛情を持っているつもりだった。
でも――、
「『慧人』って名前を呼ばれて、急に頭の中が真っ白になったんだよ。あんなに好きだったのに。やっと手に入れたのに。美琴が抱かれていたのは俺じゃなくて慧人だったんだって思ったら……目が合わせられなくなっちゃって……」
「美琴も災難だな」
「これ以上、俺にどうしろって言うんだ?どうしたら、慧人の事を忘れてくれるんだ?」
「そんなのも耐えられないんなら、あいつは止めとけ。二人で過ごした時間が長すぎるってもんだ」
そう……彼女達の17年間を、埋める術なんてないのかもしれない。
空洞に見えて、でも中身はまだ詰まっていて。
それが色あせるには、もっと、膨大に長い時間がかかるのかもしれない。
「あーあ、見てらんねーね。その落ち込みよう」
「そりゃー、落ち込むよ。こうなっても、まだ彼女の事が好きなんだ。正常に頭が動かないくらい、好きなんだよ……」