ビター・ビター・チョコレート
「美琴……」



その光景を見て、俺は逆上しそうになった。




泣き崩れる女友達の直ぐ側で、美琴が乱暴に後ろから突かれている。




アイツは、何度も謝りながら泣き叫んでいた。




「……最低だな」



俺は、手が痛いほど、ぎゅっと固く拳を握っていた。




「俺も最低だけど、お前も最低だ。美琴を、こんなふうに扱ってるの?」



もっと、大事にされていると思っていた。



だから、安心していたのに。





違った。






美琴に取っては、俺の心配なんて余計なお世話かもしれない。




でも、気がついたら、アイツの腕を引っ張っていた。
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