黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】
最初に口を開いたのは純。
「おまえ……どうした」
……まぁそーゆーコメントをもらうのもあたりまえかもね。
だって……
ふわふわな感じだった髪は黒に変えて、コテで巻いている。
ファッションだってカッコよくてクールなコーデ。
そしてなにより、ピアスを黒い蝶に変えたことによって雰囲気がガラリと変わった、と思う。
「可愛いでしょ、結奈。玲奈惚れちゃう〜」
「……おまえが惚れてどうするんだよ」
「あ、そっか。純が惚れちゃうんだね!!玲奈が純のために譲ってあげるね〜♪」
「……譲らなくていい」
むすっと言う純に、流星はあははと笑ってあたしに目を向けた。
「結奈ちゃん、蝶が好きなの?」
「うん。黒い蝶が好きなの」
そう、あたしは黒い蝶が好き。
変わってるのかもしれない。
蝶は好きでも黒は嫌って言う。