黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】
─ガチャッ
玄関をそっと開けて、階段を上がる。
シーンとして、真っ暗な家。
「結奈ー?」
お姉ちゃんの部屋の前を通ると、突然ドアが開いた。
「……なに?」
むすっと応えるあたし。
「また……遊んでたの?」
「……どーでもいいでしょ?お姉ちゃんには関係ないんだから。
いちいちお母さんみたいなこと聞かないでよ!!」
あたしはそう言って自分の部屋に入った。
お姉ちゃんなんて嫌い。
頑張って勉強してりゃいいんだ。
これで1日が終わる。
あたしのつまらない日々は……
いつまで続くの──…?
解放してほしいよ……