黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】
「自分の命まで犠牲にして守ったみたいだけど、子ども……確か女の子だったかな、結構重症だったみたいだよ」
「……あの初代総長さんにこんな過去があったなんて……知らなかったっす」
純は驚いているよう。
「……にしても、なんか結奈ちゃんって似てるんだよ」
「へっ?あたしですか?」
ちょっぴり冷めてしまったカレーを口にしようとしたあたしはスプーンを止めた。
「そう。初代総長の愛娘に似てる気がする」
「ぇ……」
「気のせい、かな?」
「たぶん……そうですって」
──あたしは無理やり笑顔を作って笑った。