黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】
電話にまりは出ないので、なにもすることのないあたしは、学校の近くにある公園のブランコに座った。
もう日は落ちかけている。
つまんないな……
「なにしてんの?」
すると後ろから聞き覚えのある声が……
振り向くと案の定、屋上の彼がいた。
「なにって暇潰しだけど?」
「家帰らねぇの?」と聞き返しながら彼は隣のブランコに座った。
「できることなら帰りたくない」
そう言ったあたしを彼はじーっと見つめる。
な……なに?