黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】
さっきの疑問はあえて聞かず、みんなと他愛ない話をしたりしていると……時刻は10:00過ぎ。
「もう10:00だから、結奈ちゃんはお家に帰ろーね」
「え、やだ!!」
純はあたしの手を引っ張って「行くぞ」と言う。
あたしが親嫌いなの知ってるくせに。
仕方なく「みんなバイバイ」と言ってあたしは疑問を残したまま、倉庫から出た。
「あたし……1人で帰れる」
「だめだ。なんのためにここに連れて来たと思ってんだ」
「わかんない」
「おまえを守るためだ」
「──…へ?」
純はそれ以上、なにも言わなかった。