黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】
来たときのように、あたしは外にあったベンツに乗り込んむ。
純とあたし、運転手さんだけの車内はすごく静か。
「家どこだ?」
「……家まで来なくていい」
「家どこだ?」
「あたしの親、一応警察官だよ?そんなの危ないから教えられない」
純は少し戸惑った顔をして「どこまで送ればいい」と言った。
あたしは家の近くの公園を教え、そこで降りた。
「明日、また迎えに来る」
純はそう言い残して純の乗ったベンツは走り去ってしまった──…