黒アゲハ Ⅰ -小さな宝物- 【完】


前からあたしは夜遊びをする悪い娘だったワケではない。

高校1年生まではピアノのコンクールにしょっちゅう出て、毎回賞をもらう常連さん。


賞をとると、みんな喜んでくれてあたしは嬉しかったんだ。その時は。


──いつからだろう……

家族の会話が……なくなっていったんだ。


ピアノをやる気も、それと同時に薄れていった。

コンクールに出ても、練習不足で予選落ち。

誰も慰めてはくれない。


高校2年の時にはピアノを弾かないようになった。

そしてあたしは強制的に転校させられた。


あたしのことを知らない学校に。


きっとコンクールに出ても賞もとれないあたしが、恥だと思ったんじゃない?


最低な家族だよ。


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