『さよなら』は言わないよ。
過去
目を瞑るといつの間にか、眠りに落ちていた。
―――――
―――――――
昔の、過去の夢を見た。
私と彼方が出会った、あの日の夢を。
高1の私はある日、図書室に借りていた本を返すのを忘れて放課後、本を返しに図書室に行った。
「ハァ……ハァ……着いたぁ~、疲れた~。さっさと返そう。」
―ガラッ
シーンと静まり返った図書室。
「図書委員、居ない。遅かったか。」
など言いながら本を棚に返す。
「これと、これがここで~。これは、奧か。」
最後の一冊は奥の棚にあるから行くと、1人の男子が本を顔に置いて寝ていた。
ウルフカットで茶色の髪の男子。
邪魔だなぁ~。
男子の寝転んでいる場所が、最後の本を返す棚だった。
様子を見ても一向に起きる気配がないので、私は声をかけた。