『さよなら』は言わないよ。
「お、俺さ。」
「うん。」
彼方が俯いていた顔を上げて、言った。
「俺、琴の事が好きなんだ。だから、付き合ってくれないか?」
突然の告白に吃驚したけど、理解すると顔が赤くなった。
私も、最初に会った時から彼方に惹かれていた。
今では、彼方に会いたいが為に急いで図書館に来る位だ。
「私も……。」
彼方が私の言葉を待ち、黙って聞いていた。
それが恥ずかしくて私は俯いて言った。
「私も、……………好き。」
そう言った瞬間、体をふわりと優しく彼方に抱き締められた。
「ありがとう。……俺、琴の事、絶対に幸せにする。」
私も、彼方の背中に手を回した。
「ありがとう、嬉しい。」
それから、高2になってクラスと席が彼方と一緒になった。
その時に、蜜柑とも仲良くなり今に至る。