『さよなら』は言わないよ。

私は、そろそろ体が限界だった。

でも自分に

『後少しだから、それまで持って。』

と言い聞かせた。

「彼方。」

「ん?」

彼方が此方に振り向いた瞬間に唇と唇を合わせた。

そう、キスをした。

最後のキスを。

名残惜しそうに離して、私は後を向いた。

「琴?」

彼方は不思議に思ったのだろう。

私は口を開いた。

私が今から言うのは、辛い辛い嘘。





















「彼方。別れよう。」




















「は?な、何いってんだよ。」

ごめん。

「もう、彼方なんて飽きたの。面白くないし。マジつまんない。」

違うよ。

彼方と居て何時も楽しかった。

つまらないことなんて1つもなかったよ。
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