『さよなら』は言わないよ。
「……彼方。」
涙が頬を濡らす。
涙は止まることはなかった。
「……彼方……彼方……彼方……彼方。」
彼方の名前を何回も呼び続けた。
胸の痛みを消すために。
胸の寂しさを消すために。
胸の失踪感を消すために。
『……最低だな。』
彼方の冷たい声がこだまする。
本当に私、最低だ。
嘘だからって遊びだなんて言ってしまったから。
私は、私が嫌いだ。
そして、神様も嫌いだ。
私は本当に、これで良かったのだろうか?
そう思ってしまう。
病院に着いた。
病院の中に入ったけど、足が重たい。
頭が朝よりボーっとする。
何も聞こえない。
頭が真っ白になっていく。
―ドサッ
私は、倒れた。
看護師が直ぐに来て何かを言っていたが、聞こえてこない。
私は、そこで意識が途絶えた。