『さよなら』は言わないよ。
残りの病院生活

あれから、私達は付き合い始めて3日経った。

彼方は朝、学校に行く前と夕方、学校帰りに欠かさず来てくれる。

それが、嬉しくて笑顔になる。

看護婦さんに、「この頃、笑顔になったね!」とも言われた。

窓から夕日が私を照らす。

―コンコン

―ガラガラ

「!!……蜜柑。」

彼方と蜜柑が入ってきた。

「こ……と……。」

私の姿を見て蜜柑は固まっていた。

「……アハハ。酷いでしょ、私。」

「そ、そんな事……。」

「点滴だらけでさ、髪は抜けて、痩せちゃったの。酷いよね……私も、この体も。」

「「そんな事ない!」」

言った瞬間、彼方と蜜柑は同時にハモった。

吃驚した。

蜜柑と彼方。

二人とも仲は良くないのに、綺麗にハモった。

「どんな姿になっても琴は琴だよ。酷くなんか無いよ。」

「蜜柑。」

涙が流れた。

この頃、私は涙線が脆いなぁ。
< 35 / 49 >

この作品をシェア

pagetop