『さよなら』は言わないよ。
彼方は、きつく抱き締めた。
私は彼方の背中に手を回しながら続けた。
「それまではバイバイだから、
『さよなら』は言わないよ。」
私の手がダランとなった。
力がでない。
「わかった。バイバイな。……琴、愛してる。」
彼方がいった言葉が嬉しかった。
ありがとう。
私は、笑顔で涙を流しながら最後の力を出して
「彼方、私も愛してる。……バイバイ、またね。」
彼方にキスをした。
そして、目を閉じて
予定より早く私は、
この世を去った。
そう、死んだのだ。