『さよなら』は言わないよ。

ノートには、こう書かれていた。


『彼方へ。

このノートを読んでいるって事は私は、もう死んだんだね。彼方は今、どんな気持ち?私は不安で怖い。でも、彼方が居ると不安が消えるの。ねぇ、彼方。私は最後まで笑顔だった?多分、私は笑顔で最後を迎えただろうな。何故かって?だって、私は幸せだったから。彼方に幸せを、いっぱい貰ったから。ありがとう。『さよなら』は言わないよ。バイバイって、言うんだ。だって、また会える気がするから。綺麗事かもしれない。けど、私は信じてる。絶対に会いに行くから。だから、生きててね。浮気なんかしたら、許さないんだから。

約束ね。

録音テープは彼方に、あげるね。

彼方。愛してる。

また、会う日まで。』

次のページを捲ると

そこには、デカデカと字が書かれていた

『バイバイ、またね。』

と。

裏表紙の蜜柑への言葉は見なかった。

見ては、いけない気がしたから。
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