『さよなら』は言わないよ。
「そっか。」
「さぁ~、食べましょ~。」
「はーい。」
母さんと私は、二人暮らし。
父さんは仕事でパリに居るのだ。
たぶん今回は父さんの仕事の手伝いに、母さんは行くのだろう。
母さんと鍋を食べ終わりソファーに座っていると、母さんが茶碗を洗いながら言った。
「琴~。本当に~ごめんね~。」
「何が?」
「私~一人だけで~パリに~行っちゃうこと~。」
「良いよ、別に。
父さんの仕事の手伝いに行くんでしょ?」
「良く分かったわね~、そうよ~。」
ほら、やっぱり。
父さんは仕事熱心だから。
「頑張ってね!」
「分かったわ~。なるべく早く終わらして~帰ってくるからね~。」
「アハハハ。頑張るのも良いけど、体には気を付けてね。」
「分かってるわ~。」
「じゃあ、お休みなさい。」
「お休み~。」
そう言い、私は自分の部屋に行った。