少年アンドロイド
ACT1
つい最近、行き着けの雑貨店に行くとある一角のスペースに骸骨の灰皿やら何やらが置いてあって、店長の心境の変化に不安を覚えつつも、これがまさに中二病というやつなんだと思った。
生温い空気の中をぼんやり歩いて考え事をしていると、ぼんやりとした思考しか生まれないと友人に言われた事がある。出鱈目だ、と思ったが真面目そうな友人の表情を見ている内に、その言葉が妙な説得力を帯びて来た様に見えたのだろう。頷いてしまった。
カウボーイハットは昨日買った。お気に入りのロングスカートはどんな服にも合うから好きだ。今日の服にも合っている。特に勉強をするのが好きなわけでは無かったから、勉強を少しだけ止めたら今度はしない事に倍もの幸せを覚え、結局は専門学校へ行く事にした。母は呆れた様だったが、後悔は無い。所詮、今が楽しければそれで良かったのだ。何て中途半端な自分。
私が通う芸術学院は、都会中の都会。けれどそこ等近辺は妙に落ち着いていて(閑散としていると言った方がいいのかもしれない)外国で見受けられる様な建物もちらほらと続いていた。
学校へ行けば、今日を愉しむ学生達が居る。自分で作った服や、隠れ家的服屋で見つけたお気に入りの小粋な服を着てそれぞれの青春とやらを愉しむ学生達。学校周辺のレトロな雰囲気と学校での友人の身なりに触発された所為で、服飾の虜になるのは早かった。
「夏休み、どうする?」
日暮里の生地屋を歩いていると、ロリータの愛砂がそう口を開いた。特に夏休みの予定なんて無かったし、友達とちらほら遊べばいいと思っていた私は思わず「え?」と聞き返してしまう。それに対して「だから、皆でどこか行こうって話してたじゃん」と少し強い口調の返答を聞いて、ああそうか、と納得した。
―――そういえば、そんなような事を言っていたっけ。
我ながら、適当だと思う。好きな物は好きだ。けれど私が私を解らない限りは、それも真実味を無くして褪せてしまう気がして。