流華の楔
「貴様らの出る幕などない」
致死量の血を流す相手を見据え、冷酷なまでに言い放つ。
行灯が消えた月明かりが照らす室内で、和早の唇が弧を描いた。
「次は?」
「俺たちが相手だ!!」
何度やっても結果は同じ。
今の和早に普通の剣は通じない。
「ぐあっ…!」
「ち、畜生…」
静まり返る室内で、生きている人間は二人だけ。
「和早…!」
「逃げて下さい、兄上。それくらいはできますよね?」
今夜が新崎兄妹にとって最悪の夜となったのには、まず間違いない。