流華の楔



「……あの、お三方」



沖田が不機嫌な目でこちらを睨んでいる。
騒がしくしてしまったからだろう。




「…じゃ、行くぜ左之よ。俺たちは食い物担当だ!」


「お? おう…」



原田の腕を引っつかんだ永倉が意気揚々と走り去っていく。




「……では、私も失礼します」


沖田の傍らに座っていた和早が立とうとした時、



「…まって」


沖田の腕が和早の裾を掴んで引き留めた。直後、力を失った腕がするりと離れていく。



「……?」


「病人を置いて行くなんて……最低ですよ」


寝込んでいるせいか、掠れる声。

強気に笑う顔も、飄々としたいつもの面影がない。
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