流華の楔
永倉と原田が食い物担当とかなんとか言っていたし、彼らを手伝った方がいいかと思っていたのだが。
まさか呼び止められるとは思ってもみなかった。
「あの、何か作りましょうか?」
「…いりません」
「………」
和早は考える。これは如何にすればよいのだろうかと。ああ、沖田の心が読めれば簡単なのに。
「ここにいてもいいんですか?」
「……ええ」
「(冗談だったんですが…)」
布団を深く被る沖田を見つめ、彼の頬に手をやる。
ひんやりとした和早の指が滑り、伏せていた沖田の睫毛が揺れた。
「戦闘中に倒れるなんて、最悪ですよね…」
沖田がぽつりと呟く。
「仕方ありませんよ。病気ですから」
「ははっ…しょせん人には勝てても、病には勝てないってことですかね…」
悔しいのだろう。
十分に戦えなかったことが。
どんな形であれ、相手に負けたことが。