流華の楔
何を思ったのか、沖田はスッと和早に手を伸ばした。
その指が、和早の腕を降りて彼女の白く細い指に絡む。
「…あの、」
意外な行動に目を見張る。
「総司」
「……え?」
「総司と呼んで…構いませんよ」
まるで「好きにしろ」とでも言うような、容認するに留まる言い方だが。
「沖田さんが私に剣で勝ったら、呼んであげても構いませんが」
「……ありえない」
「性分ですので」
似た者同士とでも言おうか。
相容れない中にもほんの一部交わる部分があるように。
互いの心も、気づかぬ間に近づいてゆく。
「どうやら、薬などいらないようです」
あなたが傍にいてくれるなら。
その本心は、飲み込んだ。