流華の楔



「違ぇよ?」



原田に聞いても土方に聞いても、返ってくる答えは同じ。

違う、の一言。



「…そうですか」


「わかんねぇのか、贈り主」


書き物をしていた手をとめ、土方が問う。



「はい。机の上に置いてあっただけで」


「…なるほどな」


何かを察したのか、土方は締まりなく笑う。まるで、贈り主を知っているかのように。



「…あの」


「す、すまんな。くくっ…こりゃ傑作じゃねぇか」


土方が半ば涙目で笑いを堪える。
怪訝そうな和早を余所に、非常に楽しそうである。


「総司に同じこと聞いてみな」


「沖田さん…ですか」



一番考えにくい人物を挙げられた気がしなくもない。

和早は半信半疑で諒とした。
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