流華の楔
「……僕なりのお礼です。あなたには少なからず世話になりましたからね」
「やっぱり沖田さんでしたか…」
「ねえ。やっぱりって何ですか、やっぱりって」
腑に落ちないとばかりに沖田が言い、形の良い唇が少しだけ尖る。
「土方さんが、沖田さんに聞いてみろと。当たりでしたね、あはは」
「ちっ、なんでわかったんだ…」
厭味のない舌打ちと共に、和早の手から簪を奪う。
「あ」
「後ろ、向いて」
「なぜ?」
「いいから!」
怒鳴るとは何事かと、仕方なしに背後を譲る。
本当なら他人に背後を取られるのは良くないのだが、今回は特別ということで。